雇用者と労働者の間で、退職に関するトラブルが絶えません。
労働者にとっては、会社都合退職の方が退職後には有利に働きますが、実態は解雇でも、自己都合退職の形をとらせたがる雇用者が多く存在します。
自己都合退職と会社都合退職(解雇)では、雇用者にとって何が違うのでしょうか。
会社都合退職をする場合は、リストラなど業績不振を噂されたりして評判が落ちるというリスクがありますが、何より、解雇には厳しい条件があるからです。
解雇の条件としては、「解雇事由が就業規則に記載されていること」と「客観的に見て、正当な理由があること」そしてきちんとした手順で行われていることが必要です。
具体的な手続きとしては、解雇をするには30日以上前に解雇予告が必要です。
しかしそれをしない代わりに、解雇予告手当(30日分以上の平均賃金)を支払うこと、また30日に満たない分を解雇予告手当で払うこと(例:20日前に解雇予告し、10日分の平均賃金を解雇予告手当として支払う)ができます。
ただし、それが天災などやむをえない理由である場合や懲戒解雇に該当する事例であれば、労働基準監督署の「解雇予告除外認定」を受ければ、予告や予告手当は不要になります。
また、採用直後の試用期間であっても、14日以上勤務している労働者に対しては予告は必要になります。
そのほか、解雇には客観的にみて正当な理由が必要ですが、それが労働者個人の資質による理由(遅刻が多い、業績が上がらない、勤務態度が悪いなど)である場合、就業規則にそれが解雇事由になることが明記され周知されている必要があります。
そして、それでも雇用者は解雇する前に、研修や教育訓練、配置転換や降格などあらゆる改善努力をする必要があります。
本人の態度を改めさせるために、口頭注意はもちろん、書面に残る始末書を書かせたり、厳罰を科すなど、段階を踏み、本人にも再三注意を繰り返し、改善努力をし続けたにも関わらず改善しなかった状態になって、やっと、解雇理由として正当と認められるということです。
ただし、就業規則にある事例だとしても、就業規則が周知されていなかったり、実態は黙認されていたり、社員皆が公平に処分されていないのであれば無効とみなされます。
そして、労働者から解雇理由証明書を要求された場合、雇用者は速やかに発行しなければいけません。
その時に記載された事由が、裁判などで解雇処分に相当しないと判断された場合、解雇が無効とされます。
解雇が無効となった場合は、労働者はその会社にずっと在籍していたことになります。雇用契約も継続されていたことになり、トラブルが長引けば長引くほど、その間の賃金や慰謝料など、莫大な損失が発生することになるのです。
解雇は、労働者にとって非常に重大なことであるために、法律でこのように条件を厳しくし、雇用者が軽く行えないようになっています。
そのため、労働者の合意の下という体裁で自己都合退職をすすめる雇用者がいるのです。
雇用者が退職を勧めること事態は、判断そのものは労働者に委ねられているとみなされ違法ではありませんが、執拗に強要することは違法になります。
自己都合退職を勧められ、納得できない場合は、安易に受け入れず、専門家に相談してみると良いかもしれません。
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